『煎茶道』をご存知でしょうか
『煎茶道』をご存知でしょうか。
煎茶道(せんちゃどう)は、茶道の一種である。粉末の茶である抹茶を用いる抹茶道とは異なり、急須等を用いて煎茶や玉露などの茶葉を用いるのが煎茶道である。
日本における煎茶道の開祖は、江戸時代初期に禅宗の一つである黄檗宗を開いた隠元隆琦とされている。このことから、現在も全日本煎茶道連盟の事務局は京都の黄檗山萬福寺内に置かれている。
と、あります。
煎茶の茶席は、抹茶の茶席と違い、形式にとらわれずに美味しいお煎茶を飲みながら皆で清談を交わし合う『文人趣味』とも称されるお席が特徴のようです。
京都宇治の宝蔵院のおもてなしの御茶席は、いつも煎茶道『瑞芽庵流』様にお願いしており、昨日は瑞芽庵流様の今年の『初煎じ』と懇親会にお招き頂きました。
今年は滋賀県近江八幡市にて開催、前日の吹雪と打って変わり、当日はカラリとした清々しい初煎じ日和でありました。
まずは、お待ち合い部屋で『大福茶』を頂戴致しました。大福茶とは、新年のはじまりに一年の無病息災を祈っていただく縁起のよいお茶とされ、梅と昆布に茶を注いだもので、その起源は平安時代にあるようです。以下、ウィキペディア(Wikipedia)引用をご参照ください。
福茶(大福茶)は古くから行われている儀礼である。その起源として次のような説がある。
- 平安時代、村上天皇の頃、疫病の流行を憐れんだ空也上人は十一面観音像を彫り、俥に載せて京の町を曳いて回った。その観音の供え物としていた茶を飲んだ多くの病人が快復したという。また、病床の村上天皇が六波羅蜜寺(空也が開基した寺)の観音の供え物としていた茶を飲んだところ、快復したとの言われもある。
村上天皇がこれを吉例として元日に服するようになり(王服)、これにならって一般の人々も一年の邪気を払うために元日に飲むようになったということである。

いよいよ御茶席本番です。
床の間には、幻の名窯とされている『湖東焼』の煎茶茶碗はじめ、滋賀県愛知川の特産品であるフラスコ型のガラスびんに、その口よりも大きな手まりを封じ込めた不思議な『びん手まり』や、同じく滋賀県特産の『竹灯籠』などともに『夢』と題されたいけばななどが飾られていました。
お軸は、臨済宗永源寺派(蘆津)石蓮実全九代管長の御筆による『和気兆豊年』が掛けられており、床の間で魅惑の滋賀ワールドが展開されておりました。

お手前は『淹茶一双手前』。近江名水のひとつ、八大龍王尊が祀られている東近江の『御澤神社』の湧き水、茶葉は東近江の『ますきち』、菓子は東近江の『いのうえ』と、床の間に引き続き滋賀ワールド、師僧の自坊である小松寺があります東近江尽くしのおもてなしに師僧ともども顔がほころぶばかりでした。

前述しました通り、煎茶の御茶席は美味しい煎茶を頂きながら清談を交わし合います。
お煎茶道具のご紹介にはじまり、床の間飾りのひとつ『湖東焼』と井伊家の繋がりについてや『御澤神社』の由来や伝説、張(暖簾)に書かれておりました『所楽非窮通』の意味についてなど、和気あいあいと清談の輪が広がりました。
因みに『所楽非窮通』とは、楽しむところは窮通に非ざると下し、窮は、窮するなど逆境を意味し、通は通ずるなど順境を表し、楽しむところは逆境も順境も関係ない、行き詰りや困難も楽しめばよし順風満帆も楽しめばよし、まさに楽しむところは窮通非ざるなりといったところでしょうか。
初煎じの後の懇親会でもお茶席同様、様々な工夫が凝らされたおもてなしが散りばめられており、頭が下がる思いで感動ばかりしておりました。真心が込められた手作りのおもてなしは、端的に心に響きますね。おのずと感謝の念に包まれ心が温かくなります。
懇親会ではお楽しみ抽選会があり、様々な景品のうちの一種として、師僧も『松高白鶴眠』『福寿海無量』『常楽我浄』と揮毫された色紙3枚を提供されておられました。この3枚の色紙うち、今回は取り分け(故あって)『松高白鶴眠』に思いを込めて揮毫されておられるご様子でした。
参加者全員による複数回の公開じゃんけん対決を経て勝者6名が選出され、その中にお家元も残っておられました。そして、たとう紙に包まれ中身が分からない色紙のうちのひとつをお家元が選ばれ、それが『松高白鶴眠』でした。誠に勝手ながら思わず『縁』の妙味を実感した次第でした。
こうして終始和やかな雰囲気の中、今年も無事に煎茶道瑞芽庵流様の初煎じと懇親会が終わりの時を告げました。
瑞芽庵流様の特徴なのでしょうか、『美味しいお茶を飲んで頂きたい』その一心で、お客の前でお手前をご披露してくださる方、その思いを裏方で支える方など、様々な立場の方が其々、集団におけるご自身の役割を慎ましく心得、他を尊敬、尊重し合い、調和が保たれた美しいお茶席を具現化なされます。毎度のことながら、心洗われ、自身ももっと仏道修行に邁進せねばと、気が引き締まる思いに繋がります。
我田引水。今週末の1月18日㈯、京都府宇治市の宝蔵院にて『鉄眼プロジェクトVol.21』を開催致します。国指定重要文化財である『鉄眼版一切経版木』の保全保護活動の一環として、版木収蔵庫見学やミニ講座などを企画しており、瑞芽庵流様のおもてなし茶席もあります。煎茶道は黄檗文化のひとつです。ご興味をお持ち頂けましたら幸いです。合掌
